在宅医療とペインクリニック
ペインクリニック専門医の仕事は主に患者さんを痛みから解放することです。
そしてこの医療行為は病院や診療所だけでなく、患者さんの家の中で行うこともできます。
最近、新聞やテレビでよく「QOL」と言う言葉をお聞きになられたことはないでしょうか。
これは「クオリティオブライフ」、日本語で「生活の質」という意味です。
これからの人生、いかにして「生活の質」を高めていくかということが最近の話題となっています。
痛みに苦しんでおられる患者さんを痛みから解放するということにも、
「生活の質」を高めるということの一つです。
そして近年このことを病院に入院してでなく、
自宅で行える様になってきています。
一番の具体的な例は癌におかされた患者さんの自宅での治療です。
「どうせなら家族のいる慣れ親しんだ自宅で最後を迎えたい」
これは末期癌患者さんの誰もが思われることですが、数年前まではなかなかむずかしいことでした。
しかし近年の医学の進歩で新しい安全な痛み止めやその授与方法が開発され、またペインクリニック専門医が患者さんの主治医と連携をもって神経ブロック治療や薬物療法にあたることで、すべての癌患者さんではありませんが自宅で最後まで痛みを感じることなく生活をすることが可能になってきました。
また癌以外でも様々な痛みを伴う病気の為に、なかなか自宅から外に出ることができないという方もいらっしゃるでしょう。
骨の老化、変形による痛みや神経痛など原因はいろいろですが、
ただ共通して言えることは、痛いからといって家でじっとしていると治らないばかりか痛みは余計にひどくなっていくということです。
病院や診療所と全く治療を患者さんの自宅で行うことはむずかしいですが、痛みを抑えるいろいろな神経ブロック治療や薬物療法を、往診という形で患者さんの自宅で行うことが可能です。
少しでも痛みが和らいで外に出ることができれば、春のやさしい日差しをあびてうっとおしい気分も明るくなることでしょう。
気分が明るくなると自然と痛みも軽く感じます。これは痛みには精神的な部分もかなり関係しているからです。
もし痛みを家の中でじっとガマンしていらっしゃる方がおられるのなら、思いきって痛みの治療を始めてみてはいかがでしょうか。
痛みが和らぐときっと目の前の世界が今までと違って、
明るく見えることと思います。
これが我々ペインクリニック専門医がお手伝いできる「生活の質」を高めるということになるのです。
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