ガンと闘う患者さんとペインクリニック
今、日本人の死亡原因の第一位はガンです。
昔はガンは治らない必ず死んでしまう病気と思われましたが、
今は医学の進歩で半数以上の方が治るようになってきました。
早期発見、早期治療が大切です。
また、ガンの痛みは耐えがたいものでどうしようもないとも思われてきましたが、
麻酔科ペインクリニックの進歩でほとんどの痛みはコントロール出来るようになってきました。
痛みの原因となっている
ガンから脳へとつながっている神経の働きを押さえ込んで痛みをとる神経ブロック治療や、
一般的な痛み止めから抗うつ薬やモルヒネなど様々な薬を使って治療する事により、患者さんをガンの痛みから解放する事が出来るようになってきました。
ガンを宣告されて落ち込んでいるところに痛みが加わると食欲もなくなるし、
ガンに負けてしまったような気分にもなります。
そしてガンと闘っていこうという気合いがなくなってしまいます。
「病は気から」とよく言いますが、この言葉は我々のような多くの多くのガン患者さんとお付き合いさせて頂いている者からすると、本当にそうだなぁと思います。
自分の力でガンを治してやる、ガンと闘っていこうとされる方の中には
病気の進行が普通では考えられないぐらいゆるやかな場合があります。
またこれはガンに限らず他の病 気の場合にも言えることです。
そしてガンと闘う為にはまず痛みから解放される、ということが重要になります。
モルヒネ、と聞くと中毒になるこわい麻薬、ガン患者さんが最後に飲む恐ろ しい薬などと想像される方が多いことでしょう。
でも実際は全くちがいます。
健康な人がモルヒネを飲めば幻覚症状が出たり、
依存症(クセになってやめられなく なる事)が起きたりする事がありますが、
ガンの痛みを止めるために使用する場合にはこのような恐い副作用は起きません。
また痛みを伴うガンの場合には、早い時期から痛みの治療を開始する事によって
患者さんから不安や恐怖を取り除く事が出来ます。
その結果体調も良くなり、余裕をもってガンと闘うと言うか、
ガンと付き合って日常生活が送れることとなります。
そしてこれらの治療は病院に入院してではなく、
自宅で行う事が多くの場合可能です。
あまり考えたくない想像ですが、「ガンです、後半年ぐらいの命でしょう」と言われた場合、残されたわずかの時間を病院で過ごすのはどうでしょう。
もし出来る事ならば、住み慣れた自宅で家族と共に過ごしたいと思いませんか?
そして有意義な時間を過ごす事が、ガンの進行を遅らせる事にもなります。
これらが最近話題となっている、
「QOL(生活の質)の改善」、「緩和ケア」につながります。
これらの治療を「ガン疼痛治療法」、そして在宅での痛みだけでなく栄養やその他全身の治療も含めた医療を「在宅末期医療総合診療」と呼びます。
麻酔科ペインクリニックの専門医や訪問看護の看護婦さん、ヘルパーさんなどと協力し、ガンの患者さんが少しでも痛みから解放された快適な日々を過ごせるようお手伝いさせて頂きます。
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